USB給電・充電の規格が複雑になってきたので,少しまとめておく.
★USB給電の経緯
- USB 2.0の標準給電規格は,最大給電5V/0.5A
- モバイル機器のバッテリー容量大型化に伴い,高速充電の需要が高まる
- USB規格に USB 3.0(2008年)追加.最大給電 5V/0.9A
- USB規格に USB BC Rev.1.2(2010年)追加.最大給電 5V/1.5A
- USB規格に USB PD 1.0(2012年) 追加.最大給電 20V/5A. Google推奨規格
- USB規格外のUSBを使用した Qualcomm 独自高速充電規格 Quick Charge 1.0(2013年) 登場.最大給電5V/2A.SoCはスナドラのみ対応
- USB規格外のUSBを使用した MediaTek 独自高速充電規格Pump Express+(2014年)登場.最大給電12V/3A.SoCはMediaTekのみ対応
- USB規格に USB Type-C(2014年)追加.最大給電 5V/3A
- USB規格 USB PD が 3.0(2017年)に更新.Type-C のみでPD使用可能
- USB規格外のUSBを使用した HUAWEI 独自高速充電規格 Super Charge(2017年)登場.最大給電 4.5V/5A. 専用ケーブル使用
- USB規格外のUSBを使用した Qualcomm 独自高速充電規格 Quick Charge 4.0(2017年秋) 登場.詳細不明.USB PDを包含.
★Appleの場合
- USB⇔Lightning専用ケーブルを使用した Appleの規格「急速充電」では,最大給電 5V/2.4A
★100均 5V/3A対応 USB Type-C⇔USB Standard-Aケーブル(USB PD非対応)
- USB Type-C⇔USB Standard-Aケーブルは,USB変換ケーブルの一種
- そのためUSB Type-C規格上,識別用プルアップ抵抗56kΩが入っており,1.5Aまでしか流せない
- しかし一部の粗悪充電器は規格の(5V/1.5A)以上の電流・電圧をかけてくる可能性もある.
- そのためUSB規格ではマージンをとって,USB Type-C⇔USB Standard-Aケーブルの最大許容電流は3Aとされている
- また独自規格により,このプルアップ抵抗による識別を無視するモバイル機器 / 充電機器が存在するかもしれない
- 独自規格の殆どは,最大5V/3A以上の電流をケーブルに流さない.ただし独自規格 Quick Charge2.0以上では5V以上の電圧がかかる(USB規格違反)
- この自主規制はおそらく,USB PD を除いたUSB Type-C 規格のケーブル最大電流が3Aであるため
- これらの理由により,3A対応のUSB Type-C⇔USB Standard-Aケーブルであれば,焼損することはないと考えられる
- ただしケーブル品質が悪く,3Aに耐えられないケーブルや,正しいプルアップ抵抗が入っていないケーブル(10kΩを入れた3A許可ケーブル)も存在する可能性があるので注意
★Quick Chargeの不明点
- Quick Charge2.0では5V~12V,Quick Charge3.0では3.6V~20Vの電圧がケーブルにかかる(5V以外はUSB規格違反).
- ただし両規格とも最大充電電力は18W
- 3A対応 USB Type-C⇔USB Standard-Aケーブルならば,3A x 5V = 15W に耐えられる
- このケーブルにおいて,QC(給電側&受電側)はプルアップ抵抗56kΩ(=1.5Aケーブル)無視して,最大20V/3A(QC3.0)を流す?
★USB給電の今後(予想)
- おそらくUSB規格である USB PD 3.0 がモバイル機器のUSB給電標準規格となる
- 各社の独自高速充電規格は,USB PD 3.0に置き換わるか,USB PD 3.0を包含して存続する
- 標準的なUSBケーブルは,両端USB Type-C となる(現行規格において,USB Type-C⇔USB Standard-A変換ケーブルでは最大許容電流が1.5Aとなってしまうため).
- 上記USBケーブルの最大許容電流は3A.最大許容電圧は5Vとなる
- 上記USBケーブルが,さらにUSB PD対応していれば,最大許容電流は5A.最大許容電圧は5~20Vとなる
★参考ページ
急速充電
USB Type-C
USB規格
Quick Charge
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